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国家のあり得ない未来

By Greg Forster, https://greenroomblog.org/tag/babel-series/より。このブログは、著者よりLIGHT PROJECTに翻訳と配信の許可を得ています。

つぶやき(バベル)続けるシリーズ:1


バベルの物語は、堕落した世界における仕事のパターンの多くを明らかにしています。もちろん、その物語とは、最初に皆さんが思い浮かべた通り、創世記11章にあるバベルの物語です。「バベル」は「バビロン」でもあり、この名前によって、聖書全体に渡る物語の一つとして、より親近感を持たれるでしょう。この二つを結びつけることによって、創世記からエレミヤ書、使徒の働き、黙示録に至るまで、聖書全体を貫く一つの物語として見えてくるのです。そして、その物語は、私たちの日々の仕事について多くの実りある考察を与えてくれます。

私が子どもの頃、創世記11章の物語は塔の物語として教えられました。人々は天に届くほど高い塔を建て、神に挑戦しようとしたと私は聞きました。だから神はそれを止められたと…。このように教えられることは、何も特異なことではありません。

しかし、創世記11章で語られているのは、単なる塔ではなく、都市なのです。神に対する人間の反抗が中心的な要素であることは明らかですが、バベルが目指したのは、神の玉座の間において、支配権を求めて神に挑戦することではありませんでした。神から離れ、安全のために城壁に隠れ、自分たちの仕事の強さに誇りと安心を求め、危険な世界を従わせ、開拓するという神の召命から逃げ出すことだったのです。

創世記11章の記述で強調されているのは、仕事なのです。1-2節では、神の創造の命令に従う人々の無害な描写から始まっています。彼らは旅をして、新しい土地に到着し(「地を満たす」)、そこに居住地を建設しました(「従わせる」)。それは良いことです。しかし、4節までに、彼らはひどく反抗し、自分たちの名を上げるため、また散らされる危険を避けるために、一つの場所にとどまり、限界を超えてそれを築き上げることについて語り合っているのです。

1-2節の従順と4節の不従順の間のターニングポイントは何でしょうか。3節にこう記されています。

「彼らは互いに言った。『さあ、れんがを作って、よく焼こう。』彼らは石の代わりにれんがを、漆喰の代わりに瀝青を用いた。」(創世記11:3)

技術的、経済的進歩は、私たちの仕事によって生み出され、私たちの仕事に力を与えてくれます。しかし、それは運命の転換への扉を開くものです。働いていると、私たちは、自分の働きの力というものを発見します。私たちが働くところならどこでも、常に存在する、自分の手による仕事を崇拝する誘惑が大いに高まります。

反抗の二つの致命的な目的は、プライドと安全です。彼らは、自分の手に巨大な力を感じて、自分の名を上げたいと思い、不確実な世界の危険に身を晒すよりも、安全を得たいと思ったのです。私たちの仕事に対する神の召命は謙遜であり、また自らの弱さをさらけ出すことでもあります(実際、一方がなければもう一方は成り立ちません)。しかし、私たちは壁を造りたいのです。

塔のポイントは、天を侵略することではなく、地を従えることを避けることです。安全を確保し、名声を得るためには、都市が発展していなければならないのです。しかし、神が望まれる通りに世界中に分散することを拒めば、広く横向きに成長することはできません。下向きに成長することも可能かも知れませんが、それでは安全も誇りも得られません。そうすると、上に向かって成長することになります。このことは、古典的な塔の描写を見れば明らかです。

塔の高さが無限であることが強調され、神が邪魔されなければ、人間は無限に成長できるという儚い希望を抱かせます。4節の叫びには、不条理さが感じられます。「さあ、われわれは自分たちのために、町と、頂が天に届く塔を建てて、名をあげよう。」暗くなった心が神から逃げようとするのは、限界から、とりわけ自分自身の力の限界から逃げたいからです。

皮肉なことに、バベルの罪がもたらしたものは、まさに自分の力の限界でした。他の箇所と同様に、ここでも、罪の罰は罪の上に恣意的に置かれたものではないのです。罪は(パウロがローマ1章で示唆しているように)それ自体が罰であるか、(知恵の書が罪の愚かさを強調しているように)少なくともそれ自体の中に罰の種を含んでいるのです。次回は、神がバベルをどのように扱われたかについて詳しく見ていきます。

本日の教訓は、仕事、それも神に従ってなされた良い仕事、そしてひょっとしたら、神に従ってなされた良い仕事は特に、力と強さをもたらし、それが高慢と恐れの誘惑をもたらすということです。 

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Greg Forster氏は、米国トリニティー国際大学のTransformational ChurchセンターにあるOikonomia Networkのディレクターです。Yale大学より博士号。著書多数。

LIGHT PROJECTでは、働くクリスチャンが、「信仰と仕事」を統合して、毎日の仕事を通して、職場でイエスの光(Light)を輝かせることができるように励まし、養うことを目標としています。

このブログを通しても、皆さんの励ましと役に立てれば嬉しいです。

翻訳:後藤スティーブン

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