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仕事、世界の始まりから – 創世記5-6

By greenroom,  David Williamson 

このブログは、https://greenroomblog.org/ と著者よりLIGHT PROJECTに翻訳と配信の許可を得ています。創世記シリーズ7回の内容です。

創世記5章は、人類(アダム)が神に似せて造られ、男も女も「imago Dei(ラテン語のThe Image of God; 神のかたち)」を持っているという主張を繰り返すことから始まります。ここでは、その誉れ、そのアイデンティティーが、最初の人間以降、続くすべての世代に受け継がれていることが分かります。同様の表現は、アダムの息子であるセツの誕生にも使われています。セツは、アダムが神のかたち・神の似姿であったように、「彼(アダム)のかたちに従って、彼に似せられた」のです。ピーターソン(The Messageの聖書訳を手掛けたEugene Peterson)は、第5章のこの冒頭の文章を次のように訳しています。「これは、人類の家系図です。神は人類を創造されたとき、神に似た性質を持つものとされました。男と女の両方を創造し、彼らを祝福しました。そして、全人類・・・アダムは、自分のたましいとかたちそのものである、自分に似た息子を得ました。」(創世記5:1-3)。

創世記5章29節では、ノアの誕生について、このように述べられています。

  • 「この子は、主がのろわれたこの地での、私たちの働きと手の労苦から、私たちを慰めてくれるだろう」(新改訳2017)
  • 「この子こそ、主が地をのろわれたため、骨折り働くわれわれを慰めるもの」(口語訳)
  • 「主の呪いを受けた大地で働く我々の手の労苦を、この子は慰めてくれるであろう」(新共同訳)
  • 「神にのろわれたこの地を耕す仕事はつらいが、この子が休ませてくれるだろう」(リビングバイブル)

アダムが罪を犯したことで、人は不安で苦しい労苦、「顔に汗を流す」という重労働を強いられることになりました。恵み深い神は、私たちの労苦の中に慰めと救い、そして助けをもたらすために、ノア(そして歴史上の他の人々)を与えることを通して、再び動き出されます。つまり、アダムに皮の衣を着せ、子孫を与えることによって、労苦の中に慰めと救い、助けをもたらされた神様が、再び直接的に働かれるということです。そういった慰めや救い、助けが具体的にどのようなかたちでもたらされるのかについては、はっきりと示されていませんが、「省力化」のための装置や時間動作研究(注1)、人間工学(注2)、産業心理学者、フィットネスコーチ、職場カウンセラーなど、私たちの身の回りにあるあらゆる方法を想像することができます。ところが、これらのほとんどが、他の労働者や友人、あるいは小さなグループの相互支援によって提供されています。これらの仕事もまた、アダムそして人類の罪に対する神の裁きの下にある、現実の物理的、社会的環境(例えば、2020年のパンデミックの影響など)に生きる人々のために、神の恵みを支える重要な仕事なのです。

ノアは、仕事に伴うストレスや痛みを軽減し、救済をもたらすよう、神から召命を受けます。ノアの子孫である私たちもまた、自分のスキルや才能を活かして、お互いに助け合う存在になるよう求められています。そのような最も分かりやすい例は、医療従事者や直接誰かに助けを差し伸べる仕事をしている人があります。

おそらく、アダムからノアまでの家系図には、家族を含め、神聖な歴史を保存し、伝えることが重要であるということが示唆されているのでしょう。私たちは、語り手、記録係、歴史学者として、人類のウェルビーイング(注3)と神とに仕えています。神様は、その物語とその中における私たちの立ち位置を記録し、語るということを始められた歴史の作者です。それゆえ、歴史を語り、振り返ることは、人間が堕落の結果や「顔に汗を流して」働くという現実に対処する方法の一つと言えます。

第6章は、人口の増加に伴い、あらゆる種類の邪悪な行為、特に暴力が拡大していることを認識することから始まります。2020年は、米国においては恐ろしい悲劇的なパンデミックのみならず、記録的な殺人発生率を叩き出し、さらには米国のみならず世界中で市民による暴動や破壊といった暴力が多発した年でした。また、この年は、長い間軽視されてきた歴史的な暴力行為に対する新たな認識が生まれたことも特徴です。それが次に説明する「混沌」です。

「日の下に新しいものは一つもない」ー私たちは良く言います。この章では、ネフィリム族は「勇士」「名のある者たち」とされています。民数記13:33(および申命記2:10-11)から、ネフィリムとは身体の大きな人々であったことがわかります。この箇所では、彼らの勇士としての働きが肯定されているようです。兵士、軍人、戦士の働きは、それが利己的な野心ではなく神の目的に向けられたものである限り、混沌とした場所で秩序をもたらし維持するために、正当で重要かつ名誉あるものです。ここには、秩序を守り、維持するための警察の仕事も確実に含まれるでしょう。神が創造において最初に行われたことは、原初の混沌から秩序を作ることでした。したがって、軍人や警察(およびその他の平和維持のための職業)は、堕落の後、神が意図する秩序をもたらすための代理人と言えます。混沌から秩序をもたらすという神の計画にとって、この仕事が極めて重要であるからこそ、それが不当に行われた場合には、恐ろしい影響が生じるのです。

ノアは、船を造る人、後に動物学者になるよう言われています。船を造るためには、ノアは設計者になる必要がありました。神から大きな方向性を受けて、船を造るために彼自身や同労者が必要になる具体的で詳細な設計図を描く必要があったのです。ノアはまた、防水加工や大工仕事、材料の調達や配合についても知っておく必要がありました。

方舟にあらゆる動物を乗せるために、ノアは動物学者、そしておそらく獣医師である必要もありました。どのような動物が共存でき、互いに助け合うことができるのか、どのような栄養が必要なのかを研究する必要があったわけです。また、様々な動物の間で発生する病気を診断し、治療する能力も必要でした。さらには、動物の健康を維持するための衛生管理やその他の技術、プロセスについても知っておく必要がありました。すなわち、栄養学の知識も必要だったわけです。人と動物のために農業を行い、食料を確保することもまた、この重要な、いのちを救うための、そして歴史を救うための任務に必要だったのです。

要するに、この複雑な試みのすべての面が、重要な仕事であり、人類さらには地球そのものを保存し、再生するという神の計画を果たすために必要であり、神によって定められたものであったわけです。

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(注1)動作時間研究:ある特定の作業で発生している手の動きや目の動きなどの動作を観測し,分析し,むだな動きを取除き,疲労の少ない経済的な動作順序や組合せなどによる標準的な作業方法を考案すること.また,このような標準的な作業方法,作業条件のもとで,人間の行う作業の適正な時間を決めることも含まれている.このような活動を総称して,動作時間研究といい,作業分析のための方法論,作業改善のための指針などが含まれている.

(注2)人間工学:働きやすい職場や生活しやすい環境を実現し、安全で使いやすい道具や機械をつくることに役立つ実践的な科学技術

(注3)ウェルビーイング:

瞬間的な幸せを表す英語「Happiness」とは異なり、「持続的な」幸せを意味する。厚生労働省は、この言葉を「個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念」だとしている。

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LIGHT PROJECTでは、働くクリスチャンが、「信仰と仕事」を統合し、毎日の仕事を通して、職場でイエスの光(Light)を輝かせる(福音を適用する)ことができるように励まし、養うことを目標としています。

このブログを通しても、皆さんの励ましと役に立てれば嬉しいです。

翻訳:後藤スティーブン

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